こんにちは、現役介護士りょーま(@Ryoma_Sugi)です。
私は学生時代から介護業界一筋で働いてきましたが、運悪く、
理想の介護を追いすぎて職員が毎月辞めていくグループホーム、
毎日0時近くまでサービス残業がある福祉用具の営業、
と、2か所で超ブラック企業での勤務を経験。
壮絶な転職活動を経て、現在土日祝休みで年間140日休日が取れるホワイト企業への転職を成功させることができました。
ブラック企業で疲弊している方、待遇が不満の方、職場の人間関係で悩んでいる方・・・たった1分の行動で現状を変えてみませんか?
著者:結城康博氏について
結城康博(ゆうきやすひろ) 淑徳大学教授(社会福祉学)
1963年、北海道洞爺湖町生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒業後、法政大学大学院経済学、政治学博士課程を修了。その後フリーターや特別支援学校の非常勤教員を経て、東京特別区の公務員試験(福祉職)に合格。
介護職やケアマネなど介護現場などでの勤務を経て、研究者へ転職。現場での経験をしているからか、介護職、特にケアマネに対しては辛口な意見を言うことで知られる。
宗教はカトリック教徒。
要約
この本では、介護人材不足について書かれています。
先述の通り著者は大学の先生なので、良く言えば理路整然と書かれており、悪く言えばやや硬めの内容の本です。
内容はおおまかに分けると以下の三項目です。
- 介護職の人材不足が進んでいる事実
- 介護業界に人材が集まらない要因
- 人材不足という課題への解決策
項目ごとに詳しく説明していきます。
1.介護職の人材不足が進んでいる事実
現場での人材不足の実態として、在宅で特に平均年齢の高いヘルパーの後継者が不足していること、施設では部屋は空いているのに利用制限しているということがデータに基づいて示されています。
さらに、有効求人倍率を見ると危機的な状況であることが分かります。
有効求人倍率 | 2010年 | 2017年 |
介護業界 | 1.31倍 | 3.50倍 |
全産業平均 | 0.52倍 | 1.50倍 |
(厚生労働省「介護人材の処遇改善について」資料2ー6ページより抜粋)
簡単に言うと、2017年時点で介護業界は100人が仕事を探しているところに350人分の求人があるという事です。
そして、年々その求人数が右肩上がりに増加しているのです。
また人材不足が進むと、介護職の質が低下して虐待が起こりやすくなったり、介護サービス自体を受けられなくなったりと様々な弊害も出てきます。
2.介護業界に人材が集まらない要因
では、なぜこんなにも介護業界に人材が集まらないのでしょうか?
これには複合的な要因があると筆者は言っています。
- 給料が安い
- 夜勤などの重労働
- サービス残業など過酷な労働環境
- 少子化で働き手自体が減少
- 介護経営として組織力不足
- パワハラ、セクハラなどが多い
- 社会的にイメージが悪い
本書にはこれらの実態が、著者が見聞きした現場で働く介護職の声なども交えて書いてあります。
これらは私も現場で働く一人として、今までの経験に照らし合わせたり、他の介護職から聞いたり、それぞれに思い当るところがありました。
つまり、全て事実なんですよね。
3.人材不足という課題への解決策
では、人材不足を解決するにはどうしたらよいのでしょうか?
様々な具体例が書かれていました。
- 賃金の向上
- 労働環境の向上
- 高齢者ヘルパーの活用
- 中間管理職の教育
- リクルート活動の強化
- 外国人人材の活用
- 介護ロボットの活用
- 奨学金の充実
- 利用者へのマナー啓発
外国人の人材や介護ロボットなどは、有効な手段の一つとしながらも、根本的な解決にはならないとやや悲観的に書いてあります。
また、中間管理職の再教育という点に関して、ゆとり世代の価値観を学ぶことが必要です。怒られなれていない、終身雇用ではなく転職が当たり前、といった今の価値観を理解することで、若い世代の介護士が定着することに繋がります。
なるほどと思ったのは、利用者のマナー啓発です。権利意識が強すぎてパワハラをする利用者を減らす良いアイデアだと思いました。
まとめ
大学の先生が書いた本は分かりにくいものが多くてあまり好きではなかったのですが、
この本は要点が簡潔に書かれており、全体も短いこともあってとても読みやすかったです。
しいて言えば、一番重要である解決策の章が短かったのでその部分もっと書いてほしかったなあと思いました。
この本を読んで、
「介護職が利用者や働き場所を選ぶ時代になる」
という事を改めて感じました。
超売り手市場なので、現役介護職の方は利用者からのハラスメントを我慢する必要はないし、ブラック労働をする必要はないのです。
もっと良い労働環境や待遇を求めて、職場に交渉しても良いし、どんどん転職した方が良いと思いました。
全ての介護職に有益な本だと思いますが、特に介護現場の管理職や経営者の方は必読です。
最後までお読み頂きありがとうございました!